老齢基礎年金の満額は平成30年で年間779,300円です。夫婦合わせても約155万円。ほかに何もなければ、食べていくだけでやっとの生活が予想されます。その中で、将来お孫さんに何かしてやりたいと思っても不安になるばかりです。現在の高齢者とは違い、余裕のある預貯金も難しい時代です。そんな現代の働く世代は、自身で資産作りをすることが当たり前になっています。ギャンブルで一発当てるようなことではなく、国の制度として利用できるものは利用して、将来の安心を手に入れませんか。
今回は“NISA”と“IDeCo”を優しく解説していきます。
目次
NISAとは? 概要と特徴
NISA(ニーサ)とは愛称で、正式名称は「Nippon Individual Savings Account」と言います。
イギリスの個人貯蓄口座(ISA)をモデルにして2014年1月に日本で誕生しました。
一言で言えば、「少額投資用の非課税制度」です。
例えば、
投資信託などの金融商品に投資したさい、売却して得られた利益や配当には約20%の税金が必要になってきます。1年間で120万円の配当があれば、約24万円の税金を納めます。
しかし、大変嬉しいことにNISA口座があれば「毎年120万円(15年まで100万円)」までは非課税になります。NISA口座とは非課税口座になるわけです。
注意してもらいたいのは、NISA口座に限って非課税になることです。NISA口座を持っていても普通口座などで発生した配当金などと損益通算(差し引き)はできません。
また、以下の点を抑えておきましょう。
【NISAのチェックポイント】
・非課税投資枠…毎年120万円(最大600万円)※1
・口座開設可能数…1人1口座※2
・非課税期間…最長5年間
・NISAの期間…2014年~2013年※3
・NISA口座を開設できる窓口…銀行、郵便局、証券会社、生命保険会社、農協、信用金庫など全ての金融機関
※1)時価が120万円を超えた場合は、翌年に超えた分を非課税投資枠に移せます。
最大枠は600万円ですが、その年の未使用分の枠(120万円に達していない金額)を翌年に持ち越すことはできません。
※2)1年単位でNISA口座を開設する金融機関を変更できます。ただし、1人1口座しか開設できません。また、現在保有している金融商品をNISAに移すことはできません。新規の投資のみ非課税の対象になります。
※3)2023年にNISAを始めで金融商品を購入した場合は、2027年(5年間)まで非課税の対象になります。
NISAで取引ができる金融商品
金融会社によって変わりますが、投資信託、株式などほとんどの課税率は20・315%(※復興特別所得税含む)です。仮想通貨(ビットコイン)にいたっては累進課税が適用されるので、最大55%。ビットコインで大儲けした“億り人”が随分ともてはやされていましたが、税額の多さに驚いたことでしょう。
さて、NISAは全ての金融商品に対応はしていませんので、必ず抑えておきましょう。
■NISAの対象となる金融商品
・株式投資信託
・国内・海外不動産投資信託(REIT)
・国内・海外上場投資信託(ETF)
・国内・外国株
・ワラント債(新株予約権付社債・転換社債)
■NISAの対象にならない金融商品
・金プラチナなどの貴金属
・非上場株式
・債権
・預貯金
・FX(外国為替証拠金取引)
・上場株指数株式
・公社債投資信託
・eワラント(カバードワラント)
・MMF(公社債投資信託)
・MRF(日々決算型の公社債投資信託)
※金融機関によって販売している商品は異なります。詳しくは口座を開設する各窓口にてお問い合わせください。
老後の資産づくりの第一歩 個人型確定拠出年金「IDeCo(イデコ)」
寿命が長くなれば、それだけセカンドライフが長くなります。
しかし、少子高齢化の影響で公的年金受給額は減少しています。
また、今の30代、40代の若い世代は受給開始時期がまた伸びるのではないかという不安があるでしょう。
単純に考えても、受給額が減り、セカンドライフが長くなるにつれて、老後の資金を上乗せしなければなりません。
そんな現代を背景に2017年から対象が拡大して話題になっているのが、
「個人型確定拠出年金(IDeCo)」です。
IDeCo(イデコ)が注目される3大メリット
イデコには3カ所の税制優遇が注目される大きな理由です。
・所得控除(拠出時)…拠出(積立)した金額が全て所得控除されます。所得税・住民税の減税になります。
・利益の非課税(運用中)…イデコの資産運用で得られる利益は本来課税される約20%の税金が非課税になります。
・各種控除(給付時)…いろいろな税制優遇が受けられます。
※老齢給付金⇒公的年金の控除(年金として支給)、退職所得の控除(一時金)
※障害給付金⇒住民税・所得税控除、
※死亡一時金⇒法定相続人1人あたり500万円まで非課税(みなし相続財産※亡くなってから3年以内の受け取り。5年を経過するとその他の相続と同じ手続きが必要です)
IDeCo(イデコ)とは? 概要と特徴
個人型の場合は、20歳~60歳未満の国民年金を支払っている人なら原則加入できる「公的年金に上乗せできる制度」です。銀行、証券会社などの金融機関で加入でき、毎月の掛け金を運用していくもので、「60歳以降に一時金または年金として受け取る」ことができます。
※イデコ取り扱い金融機関一覧
リンク:https://www.ideco-koushiki.jp/operations/
また、企業型もありますが、勤務先が制度を導入していないと加入できません。
企業型の場合は、企業が掛け金を拠出して、個人が運用方法を決めることができます。
企業型の場合は、勤務先が提携した金融機関の商品から選ぶケースが多いようです。
個人型の場合は、自分が希望する商品を扱っている金融機関から、手数料やサービスなどを見て検討するのがおすすめです。気になる金融機関が見つかれば、資料請求をお願いしてみるといいでしょう。
また、加入の手続きは各金融機関で行いますが、運営実施は国民年金法によって設立された「国民年金基金連合会」が行っています。