冬に起こりやすい不調を乗り越える方法は?漢方養生指導士がすすめる冬の養生方法

冬に起こりやすい不調を乗り越える方法は?漢方養生指導士がすすめる冬の養生方法

10月を過ぎると朝晩の気温差が激しくなり、空気も乾燥していきます。そのため、体が疲れやすくなったり、急に悲しくなったりする方が増えます。漢方によると、秋は体だけでなく心も不調を起こしやすい季節だと考えています。こういう状態が続くとひきこもってしまい、一人で辛い思いを抱えこんでしまう方も。そういうときこそ、休息をしっかりとり、誰かに自分の思いを話してみましょう。また、ちょっと心や体が疲れたと感じる方は、睡眠時間を増やすことも大切です。今回は、漢方養生指導士の資格を持つ筆者が漢方による冬の過ごし方について紹介していきます。

●冬は漢方でいう「腎」の働きが弱くなる季節

冬は空気が乾燥し、気温もぐっと下がります。暖かい季節に比べると、体の動きも少なくなり、気分が落ち込んだり、体の節々が痛くなったり、風邪をひきやすくなったりする人も増えます。 これは、漢方でいう「腎」の働きが弱まっていることも原因のひとつだと考えます。腎は、生命エネルギーの源で、腎が不足すると体力が低下し、老化が促進します。秋から冬になると、気分が落ち込む・集中力がなくなるといった方は「腎」が弱っているのかもしれません。 また、腎が弱ってくると、足腰が弱ってくる、耳が聞こえにくい・白髪が増えるなどの老化も促進します。

●生活の中で気をつけたい!漢方による生活養生法

漢方では、冬の厳しい寒さは、体も心にも悪影響を与えるといわれています。これを「寒邪」といい血行不良がおこったり、免疫力が低下したりします。また、空気が乾燥しているため喉が痛くなったり・口が乾いたりすることもあります。これらを防ぐために次のことに気をつけて生活を送っていきましょう。

冬は早く寝て朝ゆっくり起きる

漢方でよく使われる中国の古い医学書「黄帝内経」(こうていだいけい)によると、冬は動物が冬眠するように、人間も体をゆっくり休め、あまり動き回らないようにと書かれています。 これから訪れる春に備えてじっくり体力を蓄えておきましょう。夜はできるだけ早く寝るようにこころがけ、朝もゆっくり起きるようにします。仕事があるので朝はゆっくり寝られないという方は、夜だけでも早めに布団に入り寝るようにしましょう。

手首・足首・首回りを暖める

身体を暖めるためには、首とつく場所を暖めると体が温まりやすくなります。特に首は、動脈が集まっているため全身の血行がよくなります。体の冷えを抑えるために、マフラー・レッグウォーマー・タイツなどで体を保護するようにしましょう。体を締め付けるような下着やブーツは体の血行を悪くするため冷えにつながります。冬はゆったりとした気持ちで、外からだけでなく、体の中から温めるようにこころがけましょう。

ウォーキングなど軽い運動をこころがける

軽いウォーキングやヨガなど、体を温める運動をこころがけましょう。ランニングや筋トレなど激しい運動をすると、体力が奪われてしまいます。冬はゆっくり体を休め、体力を温存することが大切だと考えます。また、ダイエットも冬には向かないと考えています。運動をするなら、春・夏から始めるようにしましょう。

お風呂に入って体を温める

体の冷えを感じる方は、できるだけ毎日お風呂に入って体を温めるようにしましょう。体の冷えや疲れをとるには、38度から40度くらいのお湯に約15分入るのがオススメです。お風呂にゆずやみかんの皮を入れると、冷えを改善するだけでなく、リラックス効果も期待できます。みかんの皮は陳皮ともいわれ漢方薬にも使用されています。

●冬にオススメの食材

冬は腎を補うために黒い食材を摂ることをオススメします。黒い食材を摂ると、血行が良くなり、体温が上がるなど免疫力を高める働きがあるといわれています。

黒い食材

黒豆・わかめ・黒糖・ひじき・黒きくらげ・栗など。

体を温める食材

生姜・にんにく・にら・ねぎといった香味野菜は、体を温める薬味で食欲がないといったときにもオススメです。

根菜類

秋から冬にかけて育つ根菜類も体を温める食べ物が多いので積極的に摂っていきましょう。ただし、根菜類といっても、大根・れんこん・ごぼうは体を冷やしてしまいます。体が冷えているときは、生の大根は控えるようにしましょう。

羊肉・鶏肉

羊肉は、足腰の冷えや痛みがあるとき、疲れがとれにくい方にも効果があります。鶏肉は、食欲が無いときやお腹の冷えによる下痢などのときに摂りましょう。体力が弱っているというときにもオススメです。

●冬はゆったりとした気持ちで送ることが大切

冬は、しっかりとエネルギーを蓄える時期だと考えています。それは、動物・植物も同じです。運動を始める・ダイエットを始めるなど、いつもと違ったことを始めるというのは控えましょう。冬の間にエネルギーを蓄えておかないと、春になったときに活動的に過ごせなくなってしまいます。冬の間にしっかり養生しておかないと、風邪をひいたり、足腰が痛くなったりします。体が冷えると血行が悪くなるだけでなく、精神的にもやる気がなくなってしまう場合があります。睡眠時間と食事はしっかり摂るように心がけましょう。