なぜ、あなたは仕事をするのですか。仕方なしに「生活の糧を得るため」に働いているのでしょうか。英語の辞書にはKAROSHI(過労死)という言葉が載っています。海外の人から日本人の働き方を見ると、「クレイジー」だと驚くそうです。果たして、「働きがい」、「やりがい」を感じながら仕事をするにはどうしたらいいのでしょうか。
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日本の雇用システムの崩壊と解雇規制の緩和
日本経済が急激に成長していた時代、会社と自分を一体に見なした人生設計ができました。正社員として雇用してもらえば、退職まで保障してもらえます。住宅ローンも家族を養っていくことも安心できるので、会社に尽くすことは合理的だったと言えます。
しかし、1990年代に入ると、バブル崩壊をきっかけに終身雇用・年功序列・年功賃金が崩壊します。グローバル化による競争の激化は増していきます。一流と言われている企業の業績悪化、リストラなどのニュースが珍しくない時代に変わっていきます。
「給料をもらって働いている人は辞めて、働いて給料をもらっている人だけが残って」
こんな風に、受け身で仕事をしていては生き残れない時代だと言えます。
「働きがい」と「働きやすさ」
なぜ、あなたは働くのでしょうか。
「生活のため」が大前提ですか。
生きるためには、食べていかなければいけません。食べるためには、働いて稼がなければいけません。この、繰り返す「しなければならない」が、“生活”だと言えます。
でも、「しなければならない」生活は楽しいでしょうか。
生きがいや働きがいを感じるには、「心の充足感」が重要です。
心の充足感とは、自分の力で心を満たすことです。人からいくら与えられても、満たされるものではありません。
例えば、
恋愛に置き換えると、嫌いになってしまった相手と付き合うのは苦痛でしかありません。
“付き合わなければならない”という気持ちしか芽生えません。
仕事も同じです。
生きるために「しなければならない」という気持ちがあれば、「仕方なく働いている」としか思えないのです。
今の会社を選んだのは、誰でしょうか。
「この仕事をしよう」と決めたのは自分のはずです。
自分の道を自分で選択したのであれば、
生活水準を維持するために、「仕方なしに働いている」という言葉は出てこないはずです。“働きがい”とは、受け身では感じられるものではありません。
近年、「働きやすい」職場を目指した企業が増えてきています。
- 育児がしやすい環境
- 社員食堂の充実
- オフィスがキレイ
- 福利厚生の充実
- 評価制度の透明性
- ワークバランスを大切にしている
労働人口の不足で、働きやすい職場環境を整えている企業は増えています。
しかし、どんなに環境が整っていても、「働きがい」と「働きやすさ」は別の問題です。
お金持ちはなぜ、働き続けるのか
宝くじが当たったら、投資で成功したら、「こんな会社を辞めて、毎日、死ぬまで遊びたい」こう思うことがあるかもしれません。
しかし、
ビル・ゲイツ氏や孫正義さんは、なぜあれだけの資産を持ちながら働き続けているのでしょうか。著名な超大金持ちではなくても、億単位のお金を自由に使える人は日本でも山ほどいます。そんな人の多くは、引退せずに働き続けています。
十分な年金をもらいながら、働き続けるシニアも大勢いらっしゃいます。
ということは、「生活の糧を得るため」だけが働く理由とは言えません。
ヒントは、「万引きはなぜ、ダメなのか」の理由にあるかもしれません。
例えば、お菓子を万引きすると、原料になる木材を切る人、運ぶ人、加工する人、商品を開発・製造・販売する人など何千何万人単位の仕事を成り立たせないことにつながるという話しです。
仕事をするということは、
その仕事を通じて多くの人とのつながりや、関わりを持つことができます。その結果、自分の存在意義を感じることができるのです。
好きな仕事をするのが「働きがい」につながるのか
人間は社会的な動物であると言われています。
最終的な欲求とは、「自分の存在を社会で認められ、理解される」ことではないでしょうか。
自分を自分で承認することは不可能です。他者から承認されることで、始めて“心の充足感”を得て、「働きがい」を感じることができるのです。
その実現方法が、“働くこと”
ただ働くのではなく、
前述したように、「自分の意志で仕事に取り組むこと」が、“働きがい”として心を満たすのです。もしやらされていると感じるのなら、その仕事の意味を見つけることがやりがいに変わってきます。
価値観や幸せは人それぞれなので、働きがいを定義すると語弊がありますが、
- 社会貢献
- 仕事への愛着
- 信頼を得る
- 自己実現
- 誇り
などが心を満たしてくれるのだと考えます。
「好きな仕事をするのが幸せか」というテーマがよく語られますが、
好きな仕事ほど、「自分で選んだという意思が強くなり」、「自分の能力を発揮しやすい」からではないでしょうか。
もし、「今の仕事を辞めようか」、「転職しようか」、「仕事が面白くない」、「マンネリ化した」と立ち止まっていたら、戦国武将の織田信長の言葉をヒントにしませんか。
「与えられた仕事だけをやるのは雑兵(ぞうひょう)だ」
会社から与えられた仕事を95%にして、5%の新しい仕事を自分で創り、積み上げていくのです。「やらされている」から「自分でやる」に転換させることで、仕事の「面白さ」の発見へとつながります。面白さの発見もまた、“働きがい”になっていきます。