知らない間に医療費が高額に!市販薬を買う人は知っておきたい「ステルス医療費」とは

知らない間に医療費が高額に!市販薬を買う人は知っておきたい「ステルス医療費」とは

先日テレビの健康番組で「ステルス医療費」が話題となりました。これは、ドラッグストアで購入した薬や整骨院などのマッサージなどに費用をかける医療費を指しています。例えば、少し肩や腰が痛いという場合は、ドラッグストアで湿布を買ってとりあえず痛みを軽減したいという方も多いでしょう。

その痛みが湿布で治るのであれば、問題ありません。しかし、その痛みを長年自分でケアしたために、本当の病気が発見できなかったこともあるのです。今回は、問題となっている「ステルス医療」について、ドラッグストアで働いた経験があり医薬品登録販売者の資格を持つ筆者が紹介していきたいと思います。

●ステルス医療費とは

昨今、健康保険の費用をできるだけ抑えるという目的でセルフメディケ―ションが重要視されています。これは、できるだけ病院に行かず、自分でケアすることを意味しています。そのため、風邪などの軽い症状の場合は、家でゆっくり休んで栄養をとる、ドラッグストアで症状を軽減させる薬を買うなど自分でケアすることを求められています。

しかし、この番組で紹介されていた方は、自分で対処できる症状だと思いこんでいたため、長いドラッグストアで購入した医薬品で対処していました。しかし、年々症状は重くなり、歩くこと・外で働くことなど普段の生活を送ることが難しくなりました。そこで、病院で検査を受けたところ手術が必要な症状だということがわかったのです。もし、症状が軽いうちに病院で受診すれば、運動療法やリハビリなどで改善できたのかもしれません。

ステルス医療費は、ドラッグストアで支払った医薬品の購入費だけでなく、体の痛みのせいで食事が作れなくなったり、杖が必要になったりする費用も含まれます。また、仕事をやめざるを得なくなったケースもあるでしょう。このような費用もすべてステルス医療費に含まれます。

●セルフメディケーションの重要性

ステルス医療費と関連する言葉として、セルフメディケーションというものがあります。
セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な体の不調は自分で手当すること」とされています。できるだけ自分で食事・運動などに気をつけ病気を予防することが大切だと考えられているのです。健康な方で軽い症状であれば日が経つと改善することもあるでしょう。

ただしセルフメディケーションを進めていくためには、薬剤師・医薬品登録販売者・栄養士など専門的な知識を持つ人のサポートも必要となる場合もあります。そのため、消費者が自分の体をどうやってケアしていくかが、これから課題となっていくでしょう。

●一時的な症状を抑えるには市販薬を

ドラッグストアで販売している薬の大半は、長い間飲み続けられるものではありません。主に対症療法(病気を治すことが目的ではなく、痛みや辛さを軽減させる)といわれるものです。風邪など軽度な症状であれば、問題ない場合も多いのですが、今回の番組で紹介したような変形性股関節症といった場合もあります。

長い間薬を使ってもよくならない・いつもと違った症状が出ている・持病を抱えているなどといった方は病院を受診しましょう。持病がある方は、ドラッグストアや薬局で購入した薬を利用すると副作用が出てしまうことが考えられるため市販薬をオススメできない場合があります。

●セルフメディケーション税制について知っておこう

それでは、ドラッグストアで購入した医療費は軽減できる方法を紹介します。平成29年1月1日にセルフメディケーション税制という取り組みがはじまりました。これは、本人、または家族が購入した薬の合計額が1万2千円を超える場合、超える金額に対して総所得金額から控除されるものです。

例えば、所得税が20%・住民税が10%の場合
所得税(20,000円-12,000円)×20%=1,600円
住民税(20,000円-12,000円)×10%=800円
合わせて2,400円が減税されます。

1年間ドラッグストアなどで購入したスイッチOTC医薬品の金額が2万円だった場合、そこから1万2千円を引いた金額8千円が所得から控除されます。
スイッチOTC医薬品とは、医療用医薬品から転用されたお薬です。具体的な商品名は厚生労働省のホームページに書かれています。商品にもセルフメディケーション税控除対象と書かれている場合もあります。(ただし義務化されていない)

●薬剤師・医薬品登録販売者に相談を

ドラッグストアで働く薬の専門家は、お客さまのご相談をお伺いすることもあります。例えば、咳がひどい・熱が高いなど風邪の症状に向いた薬について説明することもあります。お客様の症状や希望を聞いてお薬をオススメしていきます。

しかし、持病のある方や、普段と違う症状を感じている方には、積極的に病院を受診するようにアドバイスをしています。これは、薬を販売することよりも、症状で悩んでいる方の体を優先すると考えているからです。ドラッグストアで薬を購入スル方はぜひ、薬剤師・医薬品登録販売者に相談してみてください。また、不安な症状があれば病院を受診することをオススメします。